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2008年11月5日水曜日

100日のハネムーン Celebrated first one hundred days of FDR.

いまこれを書いている時点ではオバマ候補が選挙人(Electoral vote)207を獲得、マッケイン候補の129人を大きく引き離しています。

まだオバマ勝利と結論付けるのは気が早いかも知れませんが、今、僕の考えていることを簡単にしたためます。

先ず両候補がどんな経済政策を採るかについては選挙活動中のスピーチではどちらも具体性に欠けていたので判断つきかねる部分が多いです。ただ根っこのところで両候補の価値観の相違を言えば:

マッケイン候補 = 小さな政府、責任感ある政府の信奉者
オバマ候補 = 富の再分配による公平な社会の実現

がコアのメッセージだったと思います。

オバマ候補の考え方は「財政散布的」な方へ傾倒しています。そのことと、彼が民主党候補であること、さらにアメリカ経済が苦境に立っているときに大統領になることなどからオバマの登場をフランクリン・D・ルーズベルト大統領と比較する論者も多いです。

ウォール街としてはすぐにでもオバマ次期大統領(?)に動き始めて欲しいと願うところかも知れませんが、これはオバマ候補の性格(用意周到でぬかりがありません)を考えると期待薄です。従って大統領就任まではマーケットが期待するような具体的なシグナルは発せられないと思います。

次にルーズベルトが大統領に就任したとき(1932年)には「最初の100日」と呼ばれる、ウォール街と大統領とのハネムーン期間がありました。この間にルーズベルトは議会に働きかけ:

National Industrial Recovery Act
Agricultural Adjustment Act
Tennessee Valley Authority
Federal Home Owners Act
Banking Act

などを次々に繰り出します。株高に沸くウォール街はこの強気相場に「ルーズベルト・マーケット」という名前をつけます。

しかしルーズベルトは主にデフレによる農産物価格の急落による農家の窮状を救うため、ドルを減価させ、リフレーションを起こすことをその経済政策の主眼に置きました。金本位制度をやめたのもそれが原因です。市場参加者はドルの健全性が損なわれる(=つまりインフレになる)懸念から合理的に考えてキャッシュより株にしておいた方が良いという判断で株を買い上がったというわけです。

ルーズベルトはドル安誘導には成功しますが、ドル安は必ずしも農産物価格の梃入れには効果を発揮しませんでした。

振り返ってみれば当時のルーズベルトの処方は必ずしも経済理論にそぐわない、ドグマ的なものも少なからず含まれていた気がします。それでもウォール街は「現状を救ってくれる救世主が登場するのなら、やり方が間違っていようと構わない」という、完全に身を委ねる、自信喪失ムードが蔓延していたといいます。

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