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2009年1月24日土曜日

金鉱株ブームが来る ③


ここで少しでも金融をかじったことのある読者なら、「当時は金本位制、今は為替は自由化されているので、状況がぜんぜん違うのではないか?」と思われるでしょう。

その通りです。

金本位制下では国家は自由にお金を印刷できません。勝手にお札の供給を増やすことは出来ないのです。

「この紙幣を銀行へ持ち込めば、かならずゴールドに替えてくれる」、そういう安心感があるからこそ、その紙幣に対する国民の信頼感が保たれたわけです。金本位制度とは、極めて単純化して言えばそういう制度のことを指します。

さて、国家が自由にお金を増刷できないということはその紙幣への信認という面では確かに良いことですが、景気のテコ入れをしたいときには不都合です。なぜなら金融を緩和して世の中の金回りを良くすることがしにくいからです。

もっとかしこまった言い方をすれば「経済政策の裁量余地が狭まれる」と表現できるでしょう。

実は大恐慌時代の経済政策の研究(=その道の権威のひとりは他ならぬベン・バナンキ議長です)は、すなわち金本位制度のもたらした限界と、それを離脱することがどう信用の供給に変化をもたらしたかの研究に他ならないのです。

例えば悪名高き「スムート・ホーレー」と呼ばれる保護主義の議員立法について大恐慌に関するほぼ全ての研究が言及していますが、そういう保護主義立法をせざるを得なかった根本的な理由は金本位制度に立脚する限り、経済を守るには非金融的手段(=この場合、貿易に関する障壁を築くこと)に訴えないと仕方無かったからです。

大恐慌時代の経済政策の研究のハイライトは「使用前」、「使用後」の対比になります。この場合の「前」と「後」とは何か?というと「金本位制離脱前」と「金本位制離脱後」になります。

金本位制をいち早く離脱した国は経済の回復が早かったし、最後までモタモタしていた国は不況が長引きました。また金本位制の離脱のタイミングと経済活動の底打ちのタイミングには高い相関関係があると言われています。

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