つまり世界の中央銀行は1930年代の二の舞にならないために一生懸命「使用後」、つまり「金本位制離脱後」型の金融政策を既に実行に移しているのだけれど、銀行のバランスシートに載ったままになっている不良債権がそうした流動性増強の努力を全部キャンセル・アウト(帳消し)してしまっているのです。
上のチャートは左側がフィラデルフィア銀行株指数(=米国の代表的な銀行セクターの指数です)、右側がドルのバスケットです。
皆さんは「ドル安が危ない」と日頃から考えていると思いますが、実はドルは円の次に強い通貨なのです。これは金融危機のダメージが未だドルを本格的に蝕んでいないという風に表現できるかも知れません。
その一方で銀行セクターの方は、確実に蝕まれています。例えばシティ(C)の株価が2ドルや3ドルの近辺をウロウロしているという事実は、僕のような株のにんげんに言わせれば「シティは実質的には破綻している」ということを市場から宣告されていることに他ならないのです。
構図を整理します。
いま、アメリカやイギリスの銀行各行は不良債権というブラックホールを抱えてその銀行そのものの価値が判定不能に陥っています。不透明感が蔓延しているのです。だからイギリスでもアメリカでも銀行株の株価がメタメタになっている、、、
ところがドルを見るとまだ壊滅的な打撃は受けていません。それはどうしてか?
それは今の段階では未だアメリカ政府のバランスシートは(悪いなりに)どの程度駄目なのかが大掴みにわかるし、不透明感も蔓延していないからです。
ところが「悪い銀行(バッドバンク)」を設立し、政府が不良債権をどんどん引き取り始めたら、、、
今度は不透明感が銀行セクターから政府へと「引越し」するのです。さらに政府が一部の銀行に対して「焦げ付き保険」を提供し始めていますが、これもリスクのトランスファー(移転)を促します。
つまり上の2つのチャートの立場が今後入れ替わる可能性もあるわけです。
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