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2009年1月3日土曜日

防衛関連株 (アメリカ株)



世界が不況になり、あらゆる業種において企業業績の見通しが不安定になっている環境では防衛産業(ディフェンス・インダストリーズ)の持つ、安定的なキャッシュフローは投資家にとって魅力的に映ります。所謂、ディフェンシブ(生活防衛)株とは別物なのですが、不況のときに強いという意味では両者が混同されるのも無理はありません。

アメリカ政府は景気テコ入れのために大型の予算を組むと見られていますが、その問題点は「すでにアメリカではものづくりをやっていない」という点にあります。経済の大部分が消費をはじめとするサービス業になっているのでインフラ投資などの伝統的な「ばらまき」による景気刺激には限界があります。(もちろん、道路建設などもやるとは思います。)

アメリカのメーカーは生産のかなりの部分を海外の生産拠点にアウトソースしています。するとごく平均的な「工員さん」などへの財政撒布を強化し、景気テコ入れを図るとなると自動車産業の保護などにならざるを得ません。

それに加えてアウトソーシングが進んでいない業界としては防衛産業が挙げられます。これは製造の大半が地場でおこなわれているので経済への波及効果は大きいです。

でも今みたいに世界が平和で、米国もいよいよイラクから兵隊さんが帰ってくるというときに防衛産業の需要なんかあるのか?と皆さんお考えかもしれません。それは間違っています。世界的に見れば防衛予算はいまどんどん増えています。とりわけ中国など新興国は最近儲けたお金で潤沢な防衛予算を持っています。

さて、上のグラフは1929年の大暴落の後、世界が大恐慌を経験した際の当時の主要国の防衛予算です。これを見ると1930年代前半は世界がブロック経済、つまり自分の植民地などの経済圏、ないしは後背地を持っている国ほど国防予算は増えませんでした。英国、フランス、米国などがその例です。しかしドイツやイタリアやロシアは重工業の稼働率を落とさないようにするためにも軍艦を作ったりして防衛予算をどんどん増やしたのです。つまり重工業の大企業は軍国主義にキャピタリズム、つまり資本主義の最後の活路を見出そうと夢を託したわけです。

防衛株の問題点としては米国の国防予算がサブプライム問題の処理のため圧迫を受けるという点です。予算が不足して、防衛費がカットされるリスクもあります。また景気が上向けば投資家の人気は他へ移ると思います。

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