(結局のところ好むと好まざるにかかわらずアメリカの動きがわからないことにはBRICsも為替もわからない、、、)
ここひと月くらいのマーケットの動きには、ホトホトそう感じさせられました。
困るのは肝心のアメリカのアウトルックが「日替わりメニュー」のように毎日コロコロ変わってしまうことです。
だからファンダメンタルズ分析だけをやっていても今の市場は説明がつかないし、テクニカル分析だけをやっていてもからっきし歯が立たない、、、
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それじゃ一体、何がアメリカのマーケットを衝き動かしているのか?ですけど、有り体に言えば政治だと言わざるを得ません。
そりゃそうです。
「こっちで100兆円、あっちで100兆円」というような規模の複数の支援策の帰趨を巡って、いろいろな思惑が激突しているわけですから、それだけのReal Moneyを浴びせかけられれば実態経済の見通しが二転三転するのは当然です。
そしてその度ごとに新しいアクロニム(acronym)や呼称がねつ造され、古い、都合の悪くなったアクロニムや呼称は「あ、それはもう今後はつかいませんから」とお払い箱にされてしまう、、、。
まるでシェークスピア劇の世界。
だからチョットでもアメリカのマーケットから目を離したら、もう事件の経緯を追うことは出来なくなってしまうのです。
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さて、ひとしきり愚痴をタレた後で今日の展開ですけど、今日は待望の官民投資プログラム(PPIP)が発表されました。
昨日(日曜日)このPPIPのブリーフィング(一部関係者を集めた説明会)があった時点では参加したヘッジファンド・マネージャー達は「若しLSPに参加して儲けたら、、、一般庶民から怨嗟を受ける」と乗り気ではありませんでした。
しかし「LSPやLLPに参加したファンド・マネージャーには下院が先日承認した役員賞与制限のような法律から守られる」ということがわかったとたん、俄然アニマル・スピリットが出ています。いや、正確に言えば、ボーナスをおおっぴらに支給できるためにはLSP、LLPプログラムに参加しなければいけなくなったのです。突然、競争が始まったのはそのためです。
またLSPの応札に際してFDICがファンディングをつける部分に関してはノンリコースのため、落札した資産から実損が出てもヘッジファンド・マネージャーが失うのはエクイティー部分のみです。(代わりに納税者が損をします。)だからOPM(Other people's money)症候群が出やすい規定になっている、、、アップサイドはたっぷり享受できて、ダウンサイドは免除されるわけですからヘッジファンドのアニマル・スピリットが鼓舞されるのは当然。
一方、活発な応札になれば銀行は高値で住宅ローン証券を売れますからマーク・トゥ・マーケット・ロスは少なくなります。いずれは一度処分したそれらの証券をヘッジファンドから安値で買い戻すことになると思いますが、その際は買いポジションを建てたコストを大幅に低い水準でリセットできますからこれはオイシイ話です。
きょう、マーケットが「さかりのついたイヌ」のように吠えまくった理由はそんなところにあるのです。
しかし、、、
いずれ納税者はティム・ガイトナー財務長官が「悪魔と取引した」ことに気づくと思います。今回のPPIPは後年、ロシアのオルガルヒが90年代に国有企業の資産を「強姦」した、「ローン・フォア・シェアーズ」のスキームと比較されるかもしれませんね。
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