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2009年3月24日火曜日

ついに出た官民投資プログラム(PPIP) 有毒廃棄物の処理が前進する!

また新しいアクロニム(略語)を覚えないといけませんね。
ティム・ガイトナー財務長官が発表した金融機関救済計画は官民投資プログラム(PPIP)と呼ばれることが決まりました。

このPPIPには2つの構成要素があります。
ひとつはLSPと呼ばれ、もう一つはLLPと呼ばれるプログラムです。

【LSP(レガシー・セキュリティー・プログラム)住宅ローン証券の買い取りに関するプログラム】
連邦政府は先ず1000億ドルの資金を、既に存在する不良資産救済プログラム(TARP)から供出します。

これに民間からの資金4000億ドルを加えて合計5000億ドルの投資資金が用意されます。(最終的にはこの投資資金の額は1兆ドルに拡大される可能性があります。)

銀行が持ったままにしている不良資産(=これまでは「有毒廃棄物」という呼び方がポピュラーでしたが、政府はこれを「レガシー・アセット」という上品な名前に変えています)をこれで買い取るわけです。

【財務省の示した事例】
銀行Aの所有する額面100ドルの住宅ローン証券が入札にかけられる

この住宅ローン証券が84ドルで落札される

84ドルの落札価格のうち72ドルはFDICが融資する(ノンリコースです)

残りの12ドルはエクイティー部分なので落札者がリスクを取る部分である

この12ドルを半分に割り、6ドルを政府が、残りの6ドルを民間の投資家がリスクマネーとして出資する
若し購入した住宅ローン証券が後に額面まで戻れば投資家は133%のリターンを得られる

この入札に参加した投資家は下院が先日承認した役員賞与に関する立法のような法律の適用を免除されると規定されています。


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【LLP(レガシー・ローン・プログラム)銀行ローンの買い取りに関するプログラム】
こちらのプログラムでは先ず焦げ付いた銀行ローンを買い取るための投資ファンドが用意されます。
銀行は自分が売りたいローン資産を選び出し、入札にかける準備をします。
次にFDIC(連邦預金保険公社)がその競売案件に関してどれだけ保障をつけるかを査定します。
その際、投資ファンドがかけられるレバレッジ比率は6対1を超えないものとします。
入札が実行されると最高値で落札したファンド・マネージャーはエクイティー部分の50%を出資します。
残りの50%のエクイティーは政府が出資し「株主」となります。
落札したファンド・マネージャーはFDICの監視のもとで買い取った資産を運用します。

なおこのプログラムに参加したい運用会社は4月10日までに名乗り出る必要があります。政府はその中から5社を選定します。このファンド・マネージャーに選ばれた金融機関もLSPの場合と同じく役員賞与制限立法から守られると規定されています。

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【寸評】
この発表のキー・ポイントは2つあると思います。
ひとつはLSPがノンリコースであるということです。これは住宅ローン証券を買い取るヘッジファンドなどの参加者のリスクを軽減し、銀行への安値での「売り返し」などのアレンジをしやすくします。
もうひとつのポイントはLSPやLLPの参加者は役員賞与制限規定の「免罪符」を発行して貰える点です。これらのことから、LSP、LLPの両プログラムは思わぬ駆け込み需要が出る可能性があります。

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