昨日のPPIPの発表でアメリカの金融不安の問題は新しい展開を迎えています。
これまで「懸案」だったいつくかの問題はnon issue(=もう関係ない)になり、入れ替えに新しい懸念が登場します。
このエントリーではそれを整理したいと思います。
先ず有毒廃棄物はPPIPによって銀行のバランスシートから政府のバランスシートへと「引っ越し」します。(ただ政府はこれが政府のバランスシートに載ることは認めたがらないと思います。「官民」という言葉にこだわるひとつの理由がこれです。)
次に原子炉の炉心を溶かすレガシー・アセットが除去されることは黙って座っているだけで、自己資本がどんどん費消される状態が終わることを意味し、それは銀行の「国有化」(=つまり救済)の必要性を低下させます。
マーク・トゥ・マーケット会計が良いか?それともマーク・トゥ・モデル会計が良いか?この論議も過去のものとなります。(なぜなら活発な取引が復活すると「通り相場」の水準が明快に示されるから。)
またPPIPは既に法律となっているTARPの資金をタネ玉としているため、財務省が議会に気兼ねせず「単独で」押し切ることが出来ます。(但しそれは財務省が批判の矢面に立たないということを保障しません。オバマ大統領はこれまで超然とした態度、立場を取るケースが多かったですが、PPIPに関してはガイトナー財務長官を徹底的に弁護する必要が出るでしょう。失敗すればオバマ大統領の支持率は急低下します。いずれにせよShow downの瞬間が来たということです。)
PPIPはFDICが「保証人」になるのでデフォルト保険は実質的には不要です。これはことレガシー・アセットに関してはCDSが「無用の長物」化したことを意味すると思います。AIGのデリバティブ部門は機能しなくなっても誰も困りません。この反面、FDICのシーラ・ベアのところが全ての保証の拠り所となる関係上、「影の帝王」的な隠然たる権力を持つ一方、ここが「事務作業がパンクする」リスクを最も抱える危険性を孕んでいると思います。
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