沈みかかった船から家財道具を海に投げ込むようにシティ(C)の瓦解が始まっていますが、その中でもヴィクラム・パンディットCEOが「絶対手放したくない」と公言しているビジネスがラテン・アメリカの銀行業務です。もともとシティには昔から南米に広範囲にわたるネットワークがあったのですが、メキシコの大手銀行、バナメックスを買収してからは圧倒的な存在感を誇ってきました。
しかし最近の業績悪化でとうとうバナメックスを手放さないといけなくなるのでは?との観測が飛び交っているのです。ブラジルの新聞が伝えるところではイタウ・ウニバンコ(ITU)の幹部が現在メキシコ・シティ入りしており、120億ドル程度の金額でバナメックスを買い取る交渉を進めているとのこと。
イタウ・ウニバンコは去年までブラジルの第2位と第3位の銀行でしたが去年の11月に合併を発表しています。先週、新会社として初めての決算発表がありました。合併の狙いのひとつは環境が厳しくなったときに備えて、貸し倒れ引当金をたくさん取れるようにバランスシートを大きくしておくということでした。実際、先週発表された決算では引当金が積み増されています。その結果、2番目のグラフにあるようにイタウ・ウニバンコのカバレッジ(=引当率)は大幅に増えています。
また安定的な貸付原資の確保が世界的なテーマになっている折、イタウ・ウニバンコも1年以上の定期預金からのファンディングの比率を大幅に増やし(1番目のグラフ)、経営の安定化を目指しています。
こうした機敏な経営判断が功を奏してイタウ・ウニバンコは余裕をもって難局に臨むことが出来ています。
0 件のコメント:
コメントを投稿