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2009年6月24日水曜日

中古ゲームソフト市場を巡って三つ巴のバトル







きょう家電量販店、ベストバイ(BBY)のチーフ・マーケティング・オフィサーが彼のブログで中古ゲームソフトのキオスク(自動販売機)をベストバイ内に設置する実験をやっていると発表しました。
このため、現在中古ゲームソフト市場でガンガン稼いでいるゲームソフト小売店のゲームストップ(GME)がザラ場急落しました。ただ大引けまでには殆ど前日比変わらず近くの水準まで戻しています。
チャート的には大きな下髭をつけた格好となっており、トレーディングで買うチャンスだと思います。
そこでゲームストップのストーリーを整理したいと思います。
先ずゲームストップは世界最大のゲームソフトの小売店であり、 世界で6200の店舗を展開しています。去年22%の既存店売上成長率を記録した後、今年はほんの少しだけマイナス成長しました。でも現在のマクロ経済の環境から考えるとこれは素晴らしいパフォーマンスであり、もちろん、百貨店、専門店などあらゆる小売業者の中でも既存店売上パフォーマンスは最高の部類に属します。
同社は所謂、「BUY、SELL&TRADE」というコンセプトを展開しています。つまり新品のゲームソフトを販売するほかに中古ゲームソフトを消費者から買い取り、それを中古品として安く販売することもやっているわけです。
最近の業績では新品のゲームはマイナス3%でしたが中古ゲームソフトは+32%成長でした。これは景気が悪くなると、皆、新品のゲームソフトを買うのを控え、割安な中古ゲームソフトに流れるからです。
上から2番目の売上高の円グラフを見るとゲームストップはハードウエアや新品ソフトウエアも売っています。中古ソフトウエアは売上高の23%に過ぎません。しかし3番目の利益の円グラフを見ると中古ソフトが全体の43%を占め、このビジネスが美味しいことがわかります。
実際、4番目の各商品のグロスマージンの棒グラフを見ると中古ゲームソフトがダントツに儲かることがわかります。
これに目をつけたのはウォルマート(WMT)です。ウォルマートは一番上の写真にあるような自動販売機(キオスク=もともとはDVDレンタルのために開発されたシステムです)を使って中古ゲームソフトを買い取るサービスを始めました。この機械はイーペイという会社が開発したものです。
今回、ベストバイが実験を開始したのもウォルマート同様、イーペイ社のキオスクだと思います。
実はこのイーペイのキオスクが最初に持ち込まれたのはゲームストップであり、ゲームストップはこの自動販売機をテストした結果、「使い物にならない」と判断し、採用を却下した経緯があります。
ゲームストップがイーペイのキオスクを却下した言い分は:
1.中古ゲームソフトを売りに来るのは大半が子供であり、クレジットカードなどを必要とするこのキオスクのシステムでは対応できない
2.ゲームソフトの買い取りはアメリカの各州によって規制があり、州ごとにIDカードによる本人確認や署名、場合によっては指紋照合など、ルールがバラバラである。だからひとつの州で導入に成功したからといって全米展開はなかなかやりにくい
3.イーペイのキオスクはポイントが加算される仕組みであり、中古ゲームソフトを売ったその場でキャッシュバック(=現金の支払)されるわけではない。ところがゲームストップでは中古ゲームを売りにきた子供は、売って現金を手にしたその場で、その現金に自分のポケットマネーを足して新しいゲームを買う。新しいゲームを買わずに現金をもってそのまま帰宅する消費者は全体の3割に満たない。だからファンはキオスクを使いたがらないだろう
というものです。長年、中古ゲームソフトを販売してきたゲームストップならではの経験、洞察がそこには含まれているように思います。

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