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2009年7月6日月曜日

Web 3.0とは「モノのインターネット」に他ならない そしてそこにあるのはデータの戦いだ








まず一番上の赤いロゴはtonchidot(頓知ドット)という大垣市にある会社です。
(大垣は僕が中学・高校時代を過ごした町です。)
去年のサンフランシスコのTechCrunch50でこのtonchidotはチョッとした旋風を巻き起こしました。
これが問題の井口氏のプレゼンテーションですが、(日本人でこれだけ肝っ玉の据わったトークを出来る奴は居ないな)と先ず感心しました。

いきなり本題から脱線しますが、日本の学校では人前で自分の考えを表現するということを教えません。僕は日本人は優秀だと思うし、勤勉だし、世界水準から比べてもピカピカだと思うけど、、、ことビジネス・プレゼンテーションということになると発展途上国以下です。

それは別に僕が日本人のプレゼン・スキルを見下しているからそう言うのではなくて、自分自身、この問題で長いこと苦しみ、辛酸を嘗め、自分のふがいなさ、至らなさに泣けてくるくらいくやしい思いをし、日本の教育を恨み、その結果、到達した結論なのです。

日本人はすごくデキるのに、メチャ損してる!プレゼンの仕方を知らないばっかりに。

で、この井口氏のプレゼンを見て僕が感じたのは、スティーブ・ジョブスの醸し出すオーラと同じものが出せる奴だなということです。

彼のプレゼンを見るとちゃんと観客の方を真っ直ぐ見て、腹にちからを入れて喋っています。そして英語の発音が悪かろうが、少々文法がおかしかろうが、そんなことには頓着せず、「書類に目を落としてないで、ちゃんとプレゼンを見て呉れ!」と促します。こういう風にフリー・スタイルで聴衆とインタラクトするのは、簡単なようで、実は誰にでも出来ることじゃありません。

またプレゼン自体も無味乾燥な事業計画の箇条書きとか、そういうサラリーマンが陥りやすい「Death by PowerPoint」のパターンを避け、単刀直入にSekaicamera(セカイカメラ=同社のプロトタイプ・コンセプト)の説明に入ってゆくのです。

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さて、本題に戻るとtonchidotがやろうとしていることはWeb 2.0のひとつ先にあるコンセプトです。それは僕が以前、楽天証券の勉強会でシリコンバレーの話をしたときに、「モノのインターネット」の話をしたわけですが、乱暴に言えばそれを指すと思うのです。

つまり携帯電話やアイフォーンなどのハンドヘルド・デバイスの位置情報とあらゆるモノに付与されたタグ情報を掛け合わせることで、人間の暮らしや意思決定の支援をするという面でコンピュータが昔より数段「かしこくなる」、という例の話です。  「空気の読めるコンピュータ」と言い換えても良いでしょう。

これを実現するためには現在、データをどんどん貯え、それを他の企業とはシェアせずに自分のところで抱え込んでしまっている(=これをサイロと呼ぶ場合があります)、それらのデータをパブリック・ドメイン(公のネットのこと)にどんどん出してやる必要があります。

多くの企業や個人はそうすることを嫌がるだろうし、ネットを信じてデータを出す(to let go)という行為は、いまのところ「向こう見ずな暴挙」くらいに世間では認識されています。

しかしこれについてはウエブのパイオニアのひとりであるティム・バーナーズ・リーも上から3番目のビデオで「これからはデータをみんながどしどし共有することが大事だ」と主張しています。

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さて、tonchidotのプレゼンが終わると聴衆からは「ヤンヤ」の拍手が沸き起こりました。しかし、、、ひな壇にあがっているエキスパート・パネル(有識者たち)の反応は結構、冷淡でした。

「実現可能性は低い」、「どうやって十分な賛同を企業や個人のユーザーから得るの?」式の懐疑的な意見が支配的でした。

とりわけtonchidotに喰ってかかっていたのがツイッターのエヴァン・ウイリアムズです。彼は「絵空事だ」と言わんばかりにメチャクチャけなしているのだけれど、これはエヴァンが他のところでスピーチしている自分のモットーと正反対の行為なんですね。(だいいちツイッター自体が未だぜんぜんビジネス・モデルが確立していないくせに!)

で、僕は壇上の専門家センセイ達(極めて落胆すべきクウォリティーの低いひとたち)の意見と聴衆の反応のどちらを信ずるか?と聞かれれば迷わず聴衆の方を信じます。

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