アヴァゴ・テクノロジーズ(AVGO)はシンガポールに本社のある半導体デザイン会社です。
ティッカー:AVGO
今回発行株数:3600万株(うち2150万株が新株)
ディール後発行済み株式数: 1450万株
初値設定:$13から$15
上場予定:8月3日の週
幹事:ドイツ銀行、バークレイズ、モルガン・スタンレー、シティ
副幹事:クレディスイス、ゴールドマン、JPモルガン、UBS、KKR
アヴァゴはアジレント・テクノロジーズ(A)の半導体部門が3年前にスピンオフされたものです。このスピンオフを買ったのはKKR、シルバーレイクなどからなるLBOファンドです。
アジレント自体がヒューレット・パッカードからのスピンオフなので、アヴァゴはもともとヒューレット・パッカードの半導体部門だったという風に理解しても間違いではありません。
シルバーレイクはハイテク専門のLBO会社の先駆けであり、ジム・デビッドソンらが作った会社です。おそらくハイテクのターン・アラウンド・アーチストとしては世界で最高峰だと思います。そのシルバーレイクの半導体・ハードウエア関係のディールはケン・ハオが担当しており、ジムとケンは今回のアヴァゴにも社外重役として名前を連ねています。
僕がケン・ハオを知ったのは彼がエヌヴィデイァを仕掛けたときです。以来、ケンの仕事ぶりにはとても感心しています。
そういうわけでアヴァゴのIPOロードショウも興味深く見ましたが、随所にシルバーレイク流の立て直しの形跡があります。
例えば、人員削減はきっちりやっているけど、R&Dはどんどん増やしている、今、売れ筋の商品に拘泥するのではなく、将来、カテゴリーとして化ける可能性があるプロジェクトを精選して、R&Dリソースを叩き込むなどです。
アヴァゴの半導体デザイン会社としての特徴は、アナログ・チップ、それも所謂、「スリー・ファイブ・コンパウンド」という分野に特化している点です。スリー・ファイブという合成素材は、例えばガリウム砒素とかインジウム・フォスファイトなどです。これらの製品の特徴は毒性の強い素材を使うのでプロセス・テクノロジーやファブ(=半導体製造会社)との仕事の運び方が少し違うという点と、なによりもそれらの素材の特性(ハイ・フリックエンシー、ハイ・データレート、ロー・シグナル・ツー・ノイズ)にあります。
結果として、CMOS(=標準プロセス・テクノロジーのこと)よりチョイ割高だけど、パフォーマンス的には圧倒的なアドバンテージがある製品がデザインできるわけです。
4つのエンドマーケット
1.ワイヤレス・デバイス→CDMA
2.ワイヤード・インフラストラクチャ→クラウド・コンピューティング、ファイバー
3.インダストリアル・自動車
4.コンシュマー、ペリフェラル
現在のデザイン・パイプラインは約20億ドルで今後の主な成長分野としては:
1.FBAR(エフバー)テクノロジー(3G)→2010年1Qから
2.オプティカル・センサーによる3Gフォンのマウス=オプティカル・フィンガー・ナビ、200万ユニット→2010年央までに。
3.120Gbのパラレル・オプティクス・アレイ(いちスーパー・コンピュータ当たり250ペアのパラレル・オプティクス・アレイが必要)→2010年央
4.パソコン向け10GbオプティカルI/O(マイクロプロセッサーとメモリーの間のボトルネック解消)
5.ユニファイド・コンピューティング向け10Gbデータ・センター・インターフェイス
などです。グロス・マージンは43.7%で、今回の不況下でも漸増しています。
LBOされた会社なので負債は多かったのですが、当初16億ドルから現在は7億ドルまで借金は減っています。ディール後は4.8億ドル程度まで下がる見込みです。
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