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2009年8月4日火曜日

シベリア⑤











シベリアのシリーズを続けます。
一番上のグラフはロスネフチ(黄)とルクオイル(赤)のリザーブ・リプレースメント・レシオです。
ロスネフチの統計は買収による部分を含んでいません。若し買収によるリザーブ追加を含めるとリザーブ・リプレースメント・レシオは300%を超えると思います。ただ、毎年そのような買収が出来るとは限らないので、オルガニック(独自努力)のリプレースメントだけを問題にするべきだと思います。
二番目のグラフは両社の油井の平均流量を示したものです。ロスネフチの数字が凄く良いのですが、これはホリゾンタル・ドリリング(水平掘削)やフラクチャリング(破砕法)などの高度なテクニックを駆使しているから良くなったのかも知れません。この効率性の向上がどれだけ持続可能(サステイナブル)かは疑問が残る気がします。
三番目はルクオイルの休止油井の全体に占める割合を示しています。あくまでも一般論ですが、原油価格が高くなると石油会社はより末期的な、残存埋蔵量の払底した油井から順番に生産し、若い油井、ロー・コストな油井を温存するのが王道だと言われています。グラフ中、前半(=たとえば2003年とか2004年)は原油価格が比較的低い時でした。そのときにロシア全体での休止油井の比率は20%を超えており、これはたぶん良い油田を温存しようとしたからというより、そもそも採算に乗らない、死期の近づいた油井を放棄したことが影響しているのかな?と思います。
四番目はルクオイルとロスネフチの試掘掘削深度を示すグラフです。これは石油の探索にどれだけ労力をかけているかの尺度になると思います。ルクオイルの方がまじめにやっている印象があります。
五番目は含水率のグラフです。油田は死期が近づくと、汲み出しても汲み出しても採れるのは水ばかりという状況になります。含水率が9割を超えるとその油井の採算性はつるべ落としに下落し、稼働すればするほど損することになります。

なお、ロシアの大手石油会社のディスクロージャーは素晴らしいです。僕は仕事柄、いろいろな国の石油株のフィナンシャル・ディスクロージャーを読みますが、ロシアのそれはオイル・メジャーにも劣りません。


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