CFDの歴史
現在、世界の個人投資家に提供されているようなCFD取引が出現したのは1990年代からです。
CFD取引の前身はエクイティー・スワップと呼ばれる店頭デリバティブ取引でした。これは機関投資家の間で行われていた取引で、主に英国や欧州大陸で発達した取引形態です。
エクイティー・スワップは英国の証券取引にかかる印紙税(スタンプ・デューティー)を節約するために行われたという解説があります。
しかし当初は契約書作成の費用や、その他、いろいろなコストや時間がかかる面倒臭い取引でした。ですからわざわざ印紙税を節約するためだけに、エクイティー・スワップが使われたとは思えません。
むしろ機関投資家のポートフォリオ全体、ないしはその特定の部分に対するヘッジの目的でエクイティー・スワップが用いられることは良くありました。
それからM&Aの材料で動きそうな企業の株を市場に知られることなく買い集める場合などにエクイティー・スワップが用いられることもありました。
つまりスティルス(隠密)性がエクイティー・スワップの大きな特徴なのです。
このようにM&Aの場面でエクイティー・スワップを用いることがフェアかどうかについては英国の議会で論争になりました。
結局のところロンドンのシティ(金融街)の競争優位の維持を最も重視する英国の議会は最終的にはエクイティー・スワップのような新技術に寛容な態度を取る決断を下しています。
さて、このようにエクイティー・スワップはもともとプロ同士の商品として発達したのですが、それが一般の個人投資家に広く普及するひとつのきっかけになったのがインターネットの普及です。
インターネットは金融市場におけるさまざまな証券の価格情報を誰でも比較的簡単に取得できる環境をもたらしました。
つまり価格情報の「民主化」が起こったのです。
このため、業者がデタラメな価格を提示することで個人投資家を欺くことがきわめて難しくなりました。また、少なくとも理屈の上では複数の業者の提示価格をリアルタイムで比較することができるようになったため、競争原理が働き、個人投資家にとって有利な提示価格が出される可能性が高くなったのです。
個人投資家とCFD業者は口座開設のときに取引に関する契約書を取り交わします。この契約は後のすべての取引にあてはめられます。(これに対して上で紹介したエクイティー・スワップは個々の取引毎に条件を個別で決めるなど、非効率な面が多かったです。)
さらに取引をインターネットに集約することで価格の透明性や利便性を向上したわけです。
つまりCFD取引とはエクイティー・スワップがインターネット時代のツールを得て、進化したものだと考えれば良いのです。
2009年9月13日日曜日
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