イングリッシュ・セントラル(English Central)という会社が話題になっています。
このサイトではビデオを観て、その会話に続いて自分で発音してみて、その発音をコンピュータに評価して貰う、、、そういう仕組みです。
このサイトの使い勝手に関しては「理系大学院留学日記」の記事が詳しいので、そちらを参照して下さい。
僕がこのサービスを見て、(いいなあ)と思った点は、有名人のスピーチなど、興味の沸きやすい素材を元に発音練習できる点です。
例えばデモのビデオは映画、『ローマの休日』の「ランチからシャンペン」のエピソードを元に作られています。(ただ、難を言えば日本語訳はイマイチですね。どこがイマイチなのかは下に示します。)
The last time was my father’s anniversary.
一番最近は、私の父の記念日だったわ。
Wedding?
結婚記念日?
No, it was the fortieth anniversary of the day he got the job.
いいえ、父が仕事について40周年の記念日だったの。
Forty years on the job. What do you know about that!
就職して40年って。なんで君がそれを知っているんだ!
→このWhat do you know about that!というのは「すげえなあ!」くらいの訳が適切だと思いました。
What does he do?
彼は何をしているの?
(中略)
Well, people in that line of work almost never do quit.
ええと、その一連の仕事に就いている人はほどんど絶対に辞めないの。
→line of businessは「その種の仕事」と訳されるべきです。
このストーリーは或る国の王女さまであるアン(オードリー・ヘップバーン)がおしのびで町に抜けだし、新聞記者(グレゴリー・ペック)に拾われるという筋立てであり、勘の良い新聞記者はこの謎の娘が実は王女様であることに気付くわけです。それでカフェでいろいろ探りをいれているわけ。
アンはお父様が国王であることを悟られないようにわざとぼやかして、歯にモノの詰まった言い回しでその話題から逃げようとしているシーン。
ペック演ずる新聞記者は(知りたい、知りたい)と焦っているのでWhat do you know about that.という驚嘆の言葉が思わず出てしまった、、、つまりフロイディアン・スリップなのです。
一方、アン王女のお父様の仕事はその国にひとつしかない仕事だから「一連」ではありません。
■ ■ ■
まあ、細かい揚げ足取りはこのへんにして、どういう仕組みでこのサイトが出来ているのか?ということですが、もともとこのイングリッシュ・セントラルをはじめた社長サンはAT&Tのベル研究所を経てスピーチワークスで働いた人です。
「ベル研」というのは理工系の人なら良く知っている、たいへん権威のあるリサーチ・センターです。
スピーチワークスは「音声認識ソフトウエア」の会社で、コールセンターなどでコンピュータの声がカスタマー・サービスに応対する、、、あの技術を持っている会社でした。(後にスピーチワークスはニュアンスに買収されています)
昔、僕が勤めていた投資銀行がスピーチワークスのリードバンカーだったのでスピーチワークスのIPOには深く関わりました。
イングリッシュ・セントラルのアイデアは、従って音声認識ソフトウエアの「応用」ということになります。
なお、イングリッシュ・セントラルのVCはビジネス・オブジェクト、アーキュル、エクセリクサスなどを手がけたアトラス・ベンチャーズとグーグル・ベンチャーズです。
0 件のコメント:
コメントを投稿