今週号の『バロンズ』ではETFの大特集が組まれています。ETFはファンドマネージャーや証券会社にとって「自分の職を脅かす危険な存在」ですから日本では鼻つまみ者扱いされています。(ちょうど山手線の自動改札と同じです。昔は切符切りの駅員さんがどの駅にも居ましたが、ファンドマネージャーはその切符切りに相当します。)そんなわけでETFという商品の良さは正確に伝えられていません。『バロンズ』はETFを熱烈に支持しています。以下抄訳:
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「なぜETFは称賛に値するか?」エドウィン・フィン
ETFは過去20年に出た金融商品の中で最も成功した商品である。ETFは投資家にとってのコストを引き下げたし、リスクを低減するのに貢献したし、自分が持っているETFの中身を毎日正確に知ることが出来る。
『バロンズ』の読者であるフィナンシャル・プランナーや個人投資家の多くは既にETFを活用している。でもETFをまだ知らない人もいる。未だETFの利点に気がついていない読者のために『バロンズ』はスタッフ総出でETF特集を組むことにした。これはETFをまだ知らない人のための案内書になると思うし、すでにETFを使っている人には現状がどうなっているかのレポートの役割を果たせばと思う。
なお、ETFは全ての投資家向きの商品ではない。投資家によっては個別株のピッキングによって市場平均を打ち負かす方法に魅力を感じる人もいるだろうし、そういうアクティブ・ファンドを購入することを好む投資家も居て良い。ただ、そういう人たちも少なくともETFとは何か?ということは常識として知っておくべきだし、他の投資家がなぜETFを利用しているのかをわきまえておくべきだ。
1990年ころにETFが最初に登場したとき、多くの市場関係者は「これはギミックだ」くらいにしか思わなかった。ETFが「株式のように」トレーディング出来ることばかりが強調され、大半の投資家はそういうデイトレの必要はないわけだから「こんな商品、必要ない」という結論になったわけだ。
しかしETFの威力はその別の特徴によって発揮された。それは税金面での有利さとコストの低さである。普通の投信だとファンドマネージャーが実際に株を買ったり売ったりしてポートフォリオを管理するので、その度ごとに売買コストがかかるし、実現益が出たらそれは年末にその投信を持つ個人投資家にとって税申告の対象になってしまう。これに対してETFは現物の持ち込みによってポートフォリオを調整するため、売買コストがほとんどかからないし、実現益も出ない。つまりETFにはファンドマネージャーそのものが居ないのだ。
この利便性に気づいた個人投資家は多い。だからETFはこんにち63兆円もの資産規模に膨れ上がっており、これはアメリカの投信業界の資産全体の15%を占めるまでに至った。
(後略)
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