「天まで届くETFの資産の増加」 マイケル・サントーリ
金融危機とそれによっておこった金融商品全般に対する投資家の不信や見直しで、ここ2年間は業界そのものが厳しく試された。しかしETFはその中にあっても素晴らしい成長を記録し、抜きん出た存在となっている。
現在、768のETFが存在し、総資産は63兆円に達している。しかもその成長のほとんどは過去5年間のボックス圏相場の環境の中で実現されているのだ。2008年の6月から計算するとアメリカの株式市場は▼17%の下落だが、この間、ETF資産は20%増えている。
バーンスタイン証券のアナリスト、ブライアン・ヒンツはETFがインデックスファンドの資産規模をいままさしく追い越そうとしていると指摘している。過去10年間のETFの資産成長率は年率換算で約40%だった。これは今後スローダウンすると思われるが、それでも年率20から25%は固い。
(中略)
この調子で行けば向こう数年のうちに伝統的な投信は「非上場ファンド」という名前で呼ばれるようになり、マイナーな存在になるだろう。
(中略)
こうしたETFの華々しい成長、とりわけ以前は殆ど知られていなかったSPDR S&P500ETF(SPY)の成功は印象に残るが、「それじゃETF業界は次にどんなヒット商品を出してくれるのか?」という疑問が残る。実際、最近出てきているETFはおよそ考えうる商品企画を採用し尽くしているし、どんどんキワモノ的な商品が増えている。
(中略)
ETFは当初、疑いの眼でみられてきたし、商品の仕組みに関しても誤解が多かった。しかしETFの本源的なアドバンテージは変わらない。それは即ち、コストが低いこと、税金面での効率性、商品の透明性、そして取引のしやすさである。
ETFの利用のされ方として最大のものはインデックス・ファンドの代用品としての存在である。バーンスタインのヒンツによるとディスカウント・ブローカーの売買手数料のうち2割はETFの委託手数料だという。株価指数ETFはIRA口座で最も幅広く保有されている商品である。
しかしそれと同時にプロのETF利用というのも増えている。具体的にはフィナンシャル・アドバイザーがETFを顧客へのアセット・アロケーションの提案に組み込むことが増えている。また投資顧問会社はETFをファンドの一部のコンポーネント、ないしはヘッジのためのストラテジーに利用している。
ETFのトレーディングがいかに流行っているかは最近の出来高をみればわかる。ETFは株式全体の出来高の4割を占める日も多い。
(中略)
こうしたETFの売買の裏ではいろいろな活動がおこなわれている。そのETFに組み込まれている原資産の売買や先物のトレーディング、エクイティー・スワップなどによってETFの価格とその純資産価格との間のかい離を埋める動きなのだ。これに関与しているのは投資銀行やETFスポンサーやヘッジファンド、さらに電子トレーディング・プラットフォームも瞬時の執行による便宜を提供するのに一役買っている。
関係者に話を聞くとそれらのETF絡みのアクティビティーが一体、証券業界全体のどれだけのシェアを占めるのかは特定しにくいということだが、ある種のニッチ市場を形成していることは間違いない。
なお、ETFはバイ・アンド・ホールド型の投資家にも良くマッチした商品である。
(後略)
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