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2009年10月18日日曜日

中国の「Laylaジレンマ」




もしあなたが喉から手が出るほど手に入れたいものがもう既に「売り切れ」なら、一体、どうしますか?
有史以来、人類が掘り出したゴールドの総和は15.8万トンだと言われています。これを立方体にすると縦横20.2メートルに過ぎません。
それではそのゴールドは何処に保管されているかと言えば上のグラフのように米国(=ウォール街にほど近い、メイドン・レーンのFRBの地下、、、、だと思います)、ドイツ、そしてIMFが最も沢山持っているのです。
さて、中国は外貨準備という点では世界最大の富を蓄えています。(3番目のグラフ参照)
しかしこの大半はドルで保有しており、ドルは最近、どんどんfunny-paper(まがいもの紙幣)の様相を呈してきています。中国の外貨準備に占めるゴールドの割合は0.9%です。
欧州各国は大体、均してみると外貨準備の半分はゴールドで保有しています。(同じく3番目のグラフ参照)
すると中国もドルの比率を減らし、ゴールドの比率を上げてやらないと、今のままでは「タマゴをひとつのバスケットに盛った」状況になってしまっているのです。
問題は中国が場でゴールドを買い漁り始めると出物が少ないために満足なポジションを築く前に金価格が暴騰してしまい、自分で自分の首を絞めてしまうということです。
するとまとまったサイズの玉を手当するためには、非市場的な方法(=つまり直談判の話し合い)によって譲ってもらう以外に無いのです。
僕は現在の中国のこの立場を「Laylaジレンマ」と呼んでいます。
レイラというのはエリック・クラプトンの有名な唄に出てくる女性の名前ですけど、実際にはジョージ・ハリスンの奥さん、パティー・ボイドのことです。クラプトンとハリスンは大の親友なのですが、困ったことにクラプトンは親友の奥さんに恋してしまうわけ。人妻=「売り切れ」なのです。
中国政府が「IMFは貧しい国々への融資を強化するためにゴールドを売った方がいいよ」としきりにアドバイスしているのはこのためです。
「あ、それから若し売るときはマーケットを崩すといけないから、僕が買って上げる」という風にも公言しています。
市場の方は何時IMFからの大きな売り玉が出るかを心配して、ゴールドへ向かう買いの手の矛先は鈍りがち。
だからIMFから中国政府へのゴールドの「大口クロス」の事実が発表されれば、売り圧力が取れたという認識が生まれ、ゴールドは急騰すると思うのです。


1 件のコメント:

春山昇華 さんのコメント...

日本では「金1t買わない? LDNの▼8%だけど」という勧誘が私のようなものの耳にも入るようになりました。
私:その金は工業用に使うために日本に持ってこれるの?
某人:・・・・・
って感じです。