マーケットに強気であることの問題点は強気派は「軽薄な奴だ」と見られやすい点です。
ブラジル株式市場は押し目を作っていますが、ここへきてブラジル・レアルの上昇が一服したのは本当に良かったと思います。
銘柄的には相次いで好決算を発表した航空会社のゴール(GOL)とタム(TAM)がとりわけ気に入っています。これらの企業は過去数年間、アグレッシブに輸送キャパシティーを増やした関係で2年ほど前に「消化不良」を起こし、業績的に足踏み期に入りました。そこへ世界金融危機が襲ったので追い打ち的に業績が悪化したのです。
しかし最近の操業状態を見ると尻上がりに座席稼働率は向上しています。今後はオペレーティング・レバレッジがキックインすると予想されるので業績は面白いように伸びるでしょう。特にゴールはリオデジャネイロ五輪招致決定直後に大型公募増資を敢行した関係でバランスシートがずいぶんラクになりました。もちろん、公募で買った投資家は皆、利食いになっています。
ブラジルの航空株の相場は若いと思います。
もうひとつブラジルのストーリーを取り上げるならば、最近、超大型のIPOでNYに上場されたサンタンデール・ブラジル(ティッカー:BSBR)。余りに大きなディールだったので公募の水準とほとんど変わらずのあたりをウロウロしています。しかしマーケット全体は底上げしているので出遅れ感が強くなっています。
ブラジルではいずれ最大のバンコ・ド・ブラジルがNYにADRを上場するのではとの観測が流れています。またシティグループのラテンアメリカ・フランチャイズであるバナメックス(メキシコ部分のみか、ラテン全体かは不明)がそろそろIPOのタイムテーブルに乗って来るでしょう。すると投資銀行各社の幹事争いは最高潮を迎える筈です。ビューティー・コンテストに際して自社の腕力を誇示すべく各社がサンタンデール・ブラジルで「相場を作ろうとする」ことは容易に想像できます。上場来高値を上に抜けたら、まっしぐらに飛び乗るつもりです。
4 件のコメント:
ジム・クレイマーが、本の中で「エアラインには決して投資してはならない」と書いてたのが、気になります。
ま、一般的に儲かる産業でないことは自明そうですが・・・
この2銘柄気になるのですが、ジム・クレイマーが本の中で、
「エアラインには決して投資してはいけない」
と書いてた一行が引っかかってます。
先進国では、一般論として、儲かる産業でない、という以上に深い意味があるんですかね?
広瀬さんはどう思われますか
Tabataさん
コメントありがとうございます。
一般的に言えばエアラインの株は投資が難しいです。その理由は:
ジェット燃料の価格の変動
装置産業ゆえ負債比率が高い
基本的にコモディティー的ビジネスである
労働集約的側面を持っている
景気の影響を受ける
などによります。
従って、ヴァリュー・プレイヤーなどのファンダメンタルズから投資を試みる連中はゼッタイ触りません。
また、テクニカル、或いは逃げ足の速い資金でもエアラインをモノにするのは大変難しいです。その良い例が伝説的に相場の上手かったマイケル・スタインハートです。スタインハートは僕が最も傾倒する投資家ですが、やっぱりエアラインでは苦戦しています。
僕がエアライン株をちゃんと理解できるようになったのは昔勤めていた投資銀行がデルタ航空で航空券の価格をコンピュータ・モデルを駆使して自動的に決定するシステムを設計した奴がアナリストとして入社してからです。(彼は後々インスティチューショナル・インベスター誌のランキングで首位になりました。)で、多変数モデルというのはわかってしまえばそれほど難しくありません。
要するに:
業界全体のキャパシティーが増えていない環境下で
総需要は漸増し
資産(=機体)の稼働率がどんどん上がり
価格設定(=運賃)が上がっている時
はエアラインは面白いように儲かるのです。
いまブラジルの航空業界はこの全てを満たしています。(唯一の不確定要素はジェット燃料価格です。)
>多変数モデルというのはわかってしまえばそれほど難しくありません。
多変数モデルについて、素人でもある程度理解できるように教えてください。
ぜひお願いします。
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