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2009年11月8日日曜日

下院ヘルスケア改革法案が「番狂わせ」で可決!


下院ヘルスケア改革法案が可決しました!

土曜日夜下院ヘルスケア改革法案が220対215で可決しました。ひとりの共和党議員が賛成票を投じたことでこの可決は「超党派」になりました。(先の上院案の投票でも同じことが起こりました。)
今回の投票の行方は最後まで混沌としており、どちらかといえば悲観論の方が多かったように思います。オバマ大統領、ナンシー・ぺロシ下院委員長らの土壇場での猛烈な根回し活動が功を奏した模様。

今回のヘルスケア改革法案は1965年以来の大きな社会福祉改革となります。約1兆ドルを投じて現在健康保険に加入できていない国民3600万人に国の健康保険を提供します。別の言い方をすれば国民皆保険の強制となるわけです。また、国の健康保険という選択肢が出来るので、民間のプランとの間で初めて本格的な競争原理が導入されます。

土曜日の下院での審議は14時間以上におよぶマラソン討議で、議員さんの中には家族、つまり子供や孫まで動員してスピーチをさせるという、異例のバトルになりました。

今回の可決のひとつのカギを握ったのは政府が新しく創設する国民健康保険では堕胎手術を保険の対象外にするという条項を盛り込んだことです。これにより堕胎手術に宗教上などの理由から反対する議員さん達が賛成派に回りました。

今後のスケジュールとしては上院が最終的な上院版ヘルスケア改革法案を可決する必要があります。さらに今回の下院案と上院案を融合させ、それをオバマ大統領の署名に付すわけです。上院は下院より過半数を得にくいので上院版ヘルスケア改革法案がすんなり通りかどうかはわかりません。

今回の下院ヘルスケア改正法案は国民皆保険のための予算原資としてメディケアの中でムダとされる支出をカットすること、裕福層に5.4%のヘルスケア税を課すこと、自営業をのぞく全ての企業は会社の健康保険のプレミアムを払うことを強制されること、会社で健康保険を設置しない企業は給与支出の8%分のペナルティー課税を課せられることが盛り込まれています。

なお、ウォール・ストリート・ジャーナルが読者に対して行ったアンケート(集計は日曜日朝)の結果が上のグラフです。(出典:ウォール・ストリート・ジャーナル)

WSJの読者は保守的な人が多いのでこれが国民の総意かどうかは注意して扱う必要があります。ただ言えることはウォール街は今回の可決を予期していなかったことだけはこのアンケート結果からも推し量れます。

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